
2020年2月21日に公開の映画「ミッドサマー」を早速観てきたのでレビューをしていきます!
「ヘレディタリー 継承」で話題になったアリ・アスター監督の最新作は白夜の中で観る狂気の白昼夢のような作品でした!
映画「ミッドサマー」の基本情報
あらすじ
思いがけない事故で家族を亡くした大学生のダニー(フローレンス・ピュー)は、人里離れた土地で90年に1度行われる祝祭に参加するため、恋人や友人ら5人でスウェーデンに行く。太陽が沈まない村では色とりどりの花が咲き誇り、明るく歌い踊る村人たちはとても親切でまるで楽園のように見えた。(シネマトゥデイより引用)
スタッフ
【製作】2019年製作 アメリカ
【原題】Midsommar
【監督】アリ・アスター
代表作:「ヘレディタリー 継承」
【脚本】アリ・アスター
【音楽】ボビー・クルリック
キャスト
ダニー: フローレンス・ビュー(「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」「ファイティング・ファミリー」などに出演)
繊細で神経質な性格の女の子。父母妹が住む実家を離れて一人で暮らしている。恋人のクリスチャンとは関係がうまくいかず、すれ違いの結果破局寸前。そんな中、双極性障害の妹が両親を道連れに一家心中をしてしまい天涯孤独になってしまった彼女はクリスチャンを頼りながらも、人知れず不安定な心を押し殺していた。

クリスチャン: ・ジャック・レイナー(「トランスフォーマーロストエイジ」「デトロイト」「ビリーブ未来への逆転」などに出演)
人類学専攻の学生でダニーの彼氏。彼女とは4年付き合っているが二人の仲は完全に冷え切っている。もともと彼女と別れようとしていたが、悲劇に遭った彼女を見て思いとどまる。ハメを外そうと仲間と計画していたスウェーデン旅行へ、仲間の反対を押し切ってダニーを連れて行くことに決める。
その他キャスト
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー ウィル・ポールター ウィルヘイム・ブロングレン アーチー・マデクウィ エローラ・トルキア

彼は嫌な奴として存在感を出すのが上手いのでこちらも注目してみてください!
ネタバレなし感想
ここからはこの映画をもっと楽しんで貰えるようにネタバレ無しのレビューでご紹介させていただきます。観るか悩んでいる方に特に読んでいただきたいです!
ホラー?カルト?これは映画の新境地
全くただものではない映画が誕生しました。
「ヘレディタリー 継承」で世界を騒がせたアリ・アスター監督が「スウェーデンに旅行に来たアメリカ人学生が殺されていくホラー映画を作ってくれ」と依頼を受けて作られたのがこの作品です。
ホラー映画といえば
だいたいが暗い場所が舞台になっていておばけや殺人鬼が襲ってきて、命の危険から主人公たちが逃げるというのが定番になっていますがこの映画は全く違います。
何が違うのかと言うと
ずっと画面が明るい!ということです。
こんな作品他にあったでしょうか?
ホラー映画が苦手で見ることができない私ですが、画面が終始明るいというところで「大丈夫かな?話題になってるし観てみるか」と思って観に行ったところ・・・大間違いでした、
太陽がサンサンと差し込む自然の中で開かれる狂気のフェスティバルに凍りつきました。
そんな映画なのに監督は「これはホラー映画ではない」と断言しています。
しかし、それを聞いていや、ホラーでしょ!と頭の中で思わずツッコミを入れてしまいました。笑
だけどこの映画にはおばけが出たり、怪奇現象が襲ってきたり、いきなりビックリさせられたりは全くありません。
画面に写っているのは明るい太陽のもとで楽しそうに踊ったり歌っている村の住人たち。
そんな陽気な雰囲気の映像なのに、ものすごい恐怖を感じました。
この映画は
あなたにとっての恐怖ってなんですか?
と監督から問いかけられているようですごく不気味でした。
そこでミソになっているのがギャップ感です。
舞台のホルガ村の住人にとっては古くから伝わっている風習を大切にしていて、90年に一度のフェスティバルを楽しんでいます。
彼らが笑顔で歌ったり踊ったりしているのは、心から楽しんでいるからだと思います。
しかし、フェスティバルに参加したことから村人の独特の風習によって命を失っていくアメリカ人学生たちからすればその笑顔は狂気そのものです。
ホルガ村の現地民たちは独特の風習を持っていて、それがアメリカ人からすればイカれた風習なのです。
その文化の違いによるギャップ感で恐怖を演出して、観る人に狂気を感じさせるこの作品は間違いなく唯一無二の作品になっていると思います。
この作品のジャンルはフェスティバル・スリラーだと呼ばれていますが、ホラーにもオカルトにもスリラーにも恋愛映画にも捉えることができる独特の内容です。
ありがちなホラー映画に見飽きた人や、暗い画面でビックリする系の映画が苦手な人に新しい恐怖を植え付ける映画の新境地を切り開いた作品だと思いました。
新しいカルトの帝王アリ・アスター
カルト映画の帝王といえば「ブルー・ベルベット」「イレイザーヘッド」などのデヴィッド・リンチ監督が有名ですが、本作のアリ・アスター監督は新しいカルトの帝王かもしれません。
前作の「ヘレディタリー 継承」が話題になったのは
独特の切り口から今までになかった恐怖を生み出してトラウマになるような演出が際立っていたからです。本作でも新しい恐怖の形を生み出しました。
「カルト映画」とは
少数のファンが熱狂的に支持する作品のことが指しますが、この「ミッドサマー」は間違いなくカルト映画に分類されると思います。
この作品は人に気軽におすすめするにはかなりハードルが高く、観るには注意が必要です。人によっては酷い不快感を覚えるでしょう。
また内容的にカップルで観るには辞めといたほうがいい映画だと思います。
特に破局しかけのカップルがこれを観ると破局に拍車をかけてしまうかもしれません。笑
それだけ万人受けする映画ではないのですが、
好みに刺さる人には「早くも2020年公開映画の中でも最高傑作が出た!!!!」と言わせるだけの映画でもあります。
デヴィッド・リンチ作品のような斬新なメタファーが満載のこの作品は、伏線がとても多く、わかりにくい印象のストーリーなのですが観終わった後には細部までこだわられた演出が紐解かれて脚本の作り込みに気づくはずです。
変わった映画が好きな方以外にはオススメしにくい(グロいシーンもあるので)ですが、気になる方は一度この狂気溢れるフェスティバルを体感してみていただきたいです!
まとめ
前作の「ヘレディタリー 継承」も話題になり、たった2作しか作っていない30代の映画監督アリ・アスターは「今最も絡んでみたい監督」と呼ばれるほどにこれからの映画界に影響を与えていく注目の人物です。
そんな世界が注目する監督が世に送り出した新しい狂気の形を体感したい人はこの「ミッドサマー」を是非見たいただきたいです。
この作品の感想を言葉に表すのはかなり難しいですが、過去に類を見ない唯一無二の作品であることだけ伝わればと思います。
太陽が沈まない白夜の中で繰り広げられる狂気のフェスティバルを垣間見るには劇場へ足をお運びください。
続きはこちら!
今回の記事では感想をご紹介しましたが、この作品に散りばめられたメタファーや伏線の意味を知ることでこの映画がさらに楽しめると思います!
必要な予備知識についてはこちらの記事でまとめましたのでこちらも読んでみてください!
館長前回の記事では本作の感想をご紹介しました。この記事では一見すると理解が難しいこの映画に散りばめられた伏線やメタファーについて解説していきます。面白い!!という人も面白くない!!という人も。賛否が分かれる映画なので[…]
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