2020年1月10日に公開、映画「パラサイト 半地下の家族」。
韓国映画初カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞して世界的な話題になりアカデミー賞を4部門受賞し、世界を席巻したポン・ジュノ監督の最新作はあらゆるジャンルに当てはまらない突然変異で生まれた映画でした。
全く予想不可能!!今までのどのジャンルにも該当しない新しい映画体験
カンヌ国際映画祭で韓国映画初の最高賞パルムドールを受賞したことで一気に全世界で話題になったこの映画「パラサイト 半地下の家族」。
映画界の各方面から大絶賛を受けるこの映画はあらゆる意味で新しい。
全く新しいこの映画は韓国映画自体の存在を世界に知らしめた快挙の作品でもあると思います。
コメディ、サスペンス、アクション・・・と、どのジャンルにも該当するといえば該当するし、該当しないと言えばどのジャンルにも該当しない。
「映画の全てが詰まった極上のエンターテインメント!」という言葉がぴったりハマるこの映画は、全く予想のつかない展開の連続を私たちに魅せてくれます。
今までに観てきた映画の記憶を引っ張り出してもどの作品にも似ていない、この映画はこの2020年公開映画を代表する一本になることは間違い無いでしょう。
この「パラサイト 半地下」の家族の見どころをネタバレなしのレビューでご紹介させていただきます!
それではこの映画のあらすじ・キャスト・感想などをまとめてネタバレなしのレビューでご紹介させていただきます。
第92回 アカデミー賞
作品賞|監督賞|脚本賞|国際長編映画賞 受賞
第77回 ゴールデングローブ賞
国語映画賞 受賞
第72回 カンヌ国際映画祭
パルムドール 受賞
予告編・あらすじ
半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れる。
(シネマトゥデイより引用)
スタッフ・キャスト
スタッフ
【製作】2019年製作 韓国
【原題】Parasite
【監督】ポン・ジュノ
代表作:「オクジャ okja」「グエムル 漢江の怪物」など
【音楽】チョン・ジェイル
キャスト
キム・ギテク(父): ソン・ガンホ
「グエムル 漢江の怪物」「殺人の追憶」などに出演
キム・ギウ(息子): チェ・ウシク
キム・ギジョン(娘): パク・ソダム
キム・チュンスク(母): チャン・へジン
この映画「パラサイト 半地下の家族」の主役になるキム一家。家族が全員失業中でピザの箱を組み立てる内職をしている“半地下”に住む家族。
その他キャスト
イ・ソンギュン チョ・ヨジュン イ・ジョンウン パク・ソジュン
おすすめポイント
ここからはこの映画をもっと楽しんで貰えるようにネタバレ無しのレビューでご紹介させていただきます!
観る前に見どころポイントを予備知識として入れて鑑賞しましょう!

① まずは皆さんにお詫びをしないといけない
まずはこのページをご覧の皆さんにお詫びをしないといけないです。
申し訳ありません。
この映画はネタバレ厳禁の映画です。
この映画のストーリーついてはご紹介することが出来ませんので初めにお詫びをさせていただきました。
この映画「パラサイト 半地下の家族」は予告動画でわかる情報以上のことは全てがネタバレになる可能性があります。
観る前に少しでも情報を入れてしまうとその分、この映画を観た時の面白さが半減すると思ってください。
当館【シネマスクエア】では
ネタバレをしないことをポリシーに映画を紹介しておりますのでご安心して読んでいただけますが、他のサイト記事やグーグル検索の結果などもかなり危険なので観るまではなるべくお調べにならないことをお勧めいたします。
またこの映画の監督ポン・ジュノはこう話しています。
「(前略)本作をご紹介頂く際、出来る限り兄妹が家庭教師として働き始めるところ以降の展開を語ることは、どうか控えてください。皆さんの思いやりあるネタバレ回避は、これから本作を観る観客と、この映画を作ったチーム一同にとっての素晴らしい贈り物となります。頭を下げて、改めてもう一度みなさんに懇願をします。どうか、ネタバレをしないでください。みなさんの協力に感謝します。」ーポン・ジュノ
映画公式パンフレットから引用
監督が自らこれほどまでにネタバレをしないでくださいと懇願する映画は今までに無かったと思います。
普通、映画のネタバレというのは“クライマックス”の内容をバラしてしまうことを指しますが、この映画パラサイト 半地下の家族」に関しては冒頭の部分からの全てがネタバレになっています。
この映画のネタバレをしてしまうのは
「ブルース・ウィルスは実は既に死んでいて、幽霊なんだ!」と某名作映画のネタバレを観る前の人にしてしまうほどに最低な行為だと私も思います。
この映画を観る前の人はネタバレを決して見ないで下さい。
この映画を見た後の人は絶対にネタバレをしないで下さい。
ポン・ジュノ監督の最高傑作であり、韓国映画の最高傑作でもあるこの「パラサイト 半地下の家族」を沢山の人がまっさらな状態で観て楽しんでいただけることを祈ります。
私からもお願いします。
絶対にこの映画のネタバレをしないで下さい。
② ジャンルを超越した突然変異映画
ストーリーには一切触れずにこの映画「パラサイト 半地下の家族」をご紹介するのは難しいです。
「何の情報も無しになにがご紹介だ!」と思われるかもしれませんが、この映画は絶対に面白いです。
それは館長である私がお約束いたしましょう。
普通、映画というのは
アクションならアクション。
サスペンスならサスペンス。
コメディならコメディ。
という各ジャンルに「こういう展開であるべき」といったお決まりのセオリーがあります。
しかし、そんな今まで映画を観てきた中での常識が全く通用しないのがこのパラサイト 半地下の家族」です!
事前の予告動画の情報やポスターを見る限りのイメージでは
ポスターは黒い目隠しが付いていてホラーっぽい。
予告動画では貧乏家族のドタバタコメディっぽい。
予告で時々シリアスなシーンが差し込まれてサスペンスっぽい。
そんな印象を持ってこの映画を劇場に観に行きました。
観終わった印象はその全てでもあり、その全てでも無いと思いました。
全く予想の出来ない展開の連続と、様々なジャンルの壁を縦横無尽に駆け回るようなストーリー、そこに込められたメッセージ性など。
その全て、文字通り全てが一瞬たりとも目を離してはくれません。
ある人は面白い!と笑い、ある人は怖い!と震える。
そんな全く新しい映画体験をポン・ジュノ監督は創り出したと思いました。
「韓国映画だから・・・」
「知ってる俳優がいないから・・・」
「言葉わからないし・・・」
なんて言ってこの映画を観なかったとしたら、後々この映画を観た時に観なかった自分へ後悔すると思います。
圧倒的な展開、圧倒的な破壊力、圧倒的な面白さ、圧倒的な恐怖!
観る人を圧倒してしまう怪物的な映画「パラサイト 半地下の家族」を是非、観てみてください!
③ 韓国の格差問題について考える
この映画のタイトルにもある『半地下』というキーワードをあなたは聞いたことがあるでしょうか?
ストーリーには触れられないので韓国の格差社会について少しご紹介させていただきます。
この事について知ることで、さらにこの映画「パラサイト 半地下の家族」がパワーアップして見えると思いますので韓国の格差社会の予備知識を入れましょう。
『半地下』というのは、韓国の人なら誰でも知っている貧困層の総称です。
韓国では床から地表までの高さが部屋の高さの半分以上なら“地下”、半分以下なら“半地下”と分類されるそうです。そんな半地下に住んでいる人は現在、80万人以上と言われています。
元々、避難するために建物の下に作られた“半地下”で人が暮らし始めたのは首都ソウルの人口が急激に増加した70年代中盤からで、住む場所に困った人たちに建物の“半地下”が貸し出されたそうです。
この映画「パラサイト 半地下の家族」の主人公たちキム一家はその“半地下”に住んでいる貧困層の家族です。
彼らは予告動画でもある通り、ピザ屋さんの箱を組み立てる内職を家族全員でしていることから家族全員が失業中であることがわかります。
そんな貧困層のキム一家が上位1%に属する富裕層のパク一家へ、パラサイト(=寄生)するというのがこの映画の大まかなあらすじです。
そこで描かれているのは貧困層と富裕層の対比です。
アメリカ映画などでも経済的格差を描いた映画は沢山ありますが、韓国の経済格差というのはそれよりもっと極端な現状であることがこの映画と出会って初めて知りました。
上位1%の富裕層と韓国にいる80万人以上の“半地下”で暮らす貧困層。
この深刻な社会問題がこの映画の根本的な部分なので、この映画を観る前にこの経済的格差の問題を頭の片隅に置いてから観てみると理解が早いかと思います。
貧困層の家族が富裕層の家族にパラサイト=寄生するという先に、どんなストーリー展開が待っているのかはこの映画を観て確かめていただければと思います。
この映画を観る前のあなたが持っている想像を全て裏切られることでしょう。
おわりに
今まで韓国映画と呼ばれているものを観たのは数えるほどしかなかった私は、この「パラサイト 半地下も家族」がカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞したと聞いて驚きました。
韓国の社会問題を取り入れた上で展開されるストーリーは今までのどの映画にも該当しない全く新しいものになっていると思います。
パルムドールというと、
前回は経済的に貧しい血の繋がらない家族が万引きをして暮らす日本の映画「万引き家族」が受賞したことで話題になりましたね。
それ以前の「わたしは、ダニエルブレイク」などのパルムドール受賞作でも社会問題を取り上げた映画が多い印象です。
近年のカンヌ国際映画祭は貧困問題、難民、経済格差などの、社会問題に関する映画が強くなっている傾向がある気がします。
そして今年、受賞した「パラサイト 半地下の家族」も同じ経済的格差を取り上げた映画です。
今まで社会問題を取り上げた映画は数あれど、この映画は「映画の全てが詰まった極上のエンターテインメント!」と言われるほど今までの映画とは全く違うものになっています。
2020年を象徴する一本になることは間違いないこの「パラサイト 半地下の家族」を観ないという選択肢はもはやありませんね!是非、観てみてください!
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