2020年1月24日に公開、映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」。
鬼才テリー・ギリアム監督が構想に30年、9回の企画頓挫に見舞われて「映画史上、最も呪われた映画」と呼ばれている本作は虚構と現実の間で揺れ動くキャラクター達を通して「夢」とは何なのか?を描いた映画でした。
何度頓挫しても諦めなかった監督の集大成がここに完成!
この映画「テリー・ギリアムのドンキホーテ」は構想30年、企画倒れ9回という「映画史上、呪われた映画」と呼ばれているほどの災難を経てようやく完成した映画です。
今年89歳になる監督テリー・ギリアムは「私が生きているうちにこの映画は完成しないかもしれない」と語っていて、数々の災難に見舞われて30年もかかって作った本作はある意味、奇跡の映画といえるでしょう。
そして、何度も何度も打ち砕かれては立ち上がって作り上げた監督の執念の映画でもあります。
「ついにあのテリー・ギリアムがドン・キホーテを完成させた!」と映画ファンの間では期待されていた本作ですが、公開してみると、欧州では大絶賛なのに北米では大不評という非常に賛否の分かれるリアクションになっています。
一方、内容はと言うと
世界的に有名な小説「ドン・キホーテ」を題材にテリー・ギリアム監督が作り上げた、夢を信じる老人と、現実を見るCM監督の男という“ 対 ”になる2人を主軸に展開される全く新しい「ドン・キホーテ」の物語がそこにはありました!
映画が結構好きな人にしか正直おすすめしにくい映画ではありますが、ハリウッドで一番の鬼才と言われるテリー・ギリアム監督の人生を費やしたこの映画は観る価値はあると思います!
この映画は
映画史に残るカルト映画なのか?
映画史に残る大傑作映画なのか?
世界の反応を真っ二つに分けてしまうほど内容はもちろん、テリー・ギリアム監督が30年をかけて作った映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」はどんな映画なのか?という期待を胸に、映画館で観てきましたので早速ネタバレなしのレビューでご紹介させていただきます!
それではこの映画のあらすじ・キャスト・感想などをまとめてネタバレなしのレビューでご紹介させていただきます!
この映画をオススメしたい人
・テリー・ギリアムの世界観が好きな人
・人生で何度も挫折を味わって苦しんだ人
・頑張るおじいさんを見て勇気づけられる人
に特におすすめしたい映画です!
『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』予告編・あらすじ
仕事の意欲を失ったCM監督のトビー(アダム・ドライヴァー)は、スペインの田舎で撮影をしていた際、学生時代に自分が撮った映画『ドン・キホーテを殺した男』のDVDを持つ男と出会う。
舞台となった村を訪れたトビーは、かつて主役に抜てきした靴職人の老人ハビエル(ジョナサン・プライス)と再会する。自分を本物の騎士だと信じる老人は、トビーを従者のサンチョだと思い込み、強引にトビーを連れて冒険の旅へと繰り出す。
(シネマトゥデイより引用)
スタッフ・キャスト
スタッフ
【製作】2018年製作 スペイン・ベルギー・フランス・イギリス・ポルトガル合作
【原題】The Man Who Killed Don Quixote
【監督】テリー・ギリアム
代表作:「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」「Dr.パルナサスの鏡」など
【脚本】テリー・ギリアム トニー・グリゾーニ
【音楽】ロケ・バニョス
キャスト
トビー:アダム・ドライバー(「マリッジ・ストーリー」「ブラック・クランズマン」「スターウォーズシリーズ」などに出演)
仕事に向ける情熱をなくしてしまったCM監督の男。学生の頃に作った「ドン・キホーテを殺した男」という自主映画がきっかけで人生を狂わされてしまった人たちと出逢い、自らをドン・キホーテと信じ込むハビエルと旅をする。
ハビエル(ドン・キホーテ): ジョナサン・プライス(「2人のローマ教皇」「未来世紀ブラジル」「ゲーム・オブ・スローンズ」などに出演)
靴職人だった彼は、自主制作映画「ドン・キホーテを殺した男」をきっかけに自らをドン・キホーテだと信じ込む。トビーのことを従者サンチョだと思い込み、彼を無理やりに連れて冒険の旅に出る。
その他キャスト
ステラン・スカルスガルド オルガ・キュリレンコ ジョアナ・リベイロ オスカル・ハエナダ ジェイソン・ワトキンス セルジ・ロペス ロッシ・デ・パルマ ホビク・ケウチケリアン ジョルディ・モリャ
おすすめポイント
ここからはこの映画をもっと楽しんで貰えるようにネタバレ無しのレビューでご紹介させていただきます!
観る前に見どころポイントを予備知識として入れて鑑賞しましょう!

① 「ドン・キホーテ」の物語を知らないと理解できないかも
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は
その名の通りテリー・ギリアム“の”ドン・キホーテなので、そもそも「ドン・キホーテ」を知らなければ理解が難しいところがあります。
しかも、ストーリーの中で「ドン・キホーテ」という小説が登場することから、
ドン・キホーテの物語の上にもう一層ドン・キホーテの物語が展開しているような二重構造になっています。
ここがこの映画を難解にしてしまっているポイントでもありますので、この映画を観る前に「ドン・キホーテ」について少し知っておきましょう!
小説『ドン・キホーテ』ってどんな話?
1605年にスペインのミゲル・デ・セルバンテスという作家が出版した「史上最高の文学100選」の1位にも選ばれている世界的に有名な小説が「ドン・キホーテ」です。
その内容をざっくり言うと、50歳の下級貴族のアロンソという男が騎士道物語の読み過ぎで自らのことを騎士だと思い込み、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャだ!」と名乗って冒険に出かけるという物語です。
この物語のポイントは
思い込みから現実と空想の区別が付かなくなる滑稽な男の物語だと言うことです。
その中に出てくる話で、風車を巨人と錯覚して馬に乗るドン・キホーテ(アロンソ)が風車に槍を持って突撃するという部分は有名ですよね!
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は
トビーというCM監督が学生の頃にスペインの田舎村で「ドン・キホーテを殺した男」という自主制作の映画を撮影します。その時にドン・キホーテ役として目をつけたのが貧しい靴職人のハビエルです。
撮影が始まってもノリ気にならないハビエルでしたが、役に入り込もうと練習するうちにどんどんドン・キホーテとして出来上がっていきます。
10年後にトビーがその村を訪れてみると・・・そこには今でも自らを「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャだ!」と名乗り甲冑に身を包んだハビエルが“ドン・キホーテとして”生き続けていたのでした。
というストーリーです。
つまりこの映画は、ドン・キホーテを題材にした映画にのめり込んだ男がドン・キホーテになっちゃってた!という二重構造になってます!
この二重のドン・キホーテの物語になっているポイントが、ドン・キホーテを知らずにこの映画を観た人を混乱させる原因になっています。
しかし、
このポイントこそが、この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」で描かれる現実か空想かが観ている私たちにもわからなくなるという演出の大きなキモになっています。
これは他の映画でもよく見られる手法になっています。
「ジョーカー」「キング・オブ・コメディ」「ブラック・スワン」「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」などでは
観ている人も現実を観ているのか、空想を観ているのかわからなくなるという演出が使われていることがわかります。
こういった現実か空想かの区別が付かなくなる演出の源流になっているのが1605年に出版された「ドン・キホーテ」であるといっても過言ではないでしょう!
もしかしたら「ビューティフル・マインド」や「トゥルーマン・ショー」でもここから着想を得ているかもしれません。
ハビエルとトビーが対になっていることも特徴的
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」ではハビエルとトビーの存在が“対”になっていることも特徴的だと思います。
アダム・ドライバー演じるトビーは広告業界のCM監督という“ 夢を売る ”仕事をしている男で、仕事への情熱を失った彼は現実への不満を抱えて面白くなさそうに仕事をしています。
その対になるのがハビエルです。
彼はうだつの上がらない靴職人だった自分を捨てて、甲冑を身に纏い白い馬と共に暮らしていて、自分を英雄的な存在であるドン・キホーテ本人だという“夢を信じる”男です。
この夢を売る男と夢を信じる男という全く逆の存在を通して描かれているのがトビー・ギリアム監督オリジナル「ドン・キホーテ」のストーリーになっています。
ハビエルが見ているのは夢
トビーが見ているのは現実
という対比を描きながらも、その対比自体もわからなくなってくるというストーリー展開はこの映画の大きな見どころだと思います!
そんな空想か現実かの区別が観ている私たちにもわからなくなってくるストーリーで作られた「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」を通してテリー・ギリアム監督が何を伝えたかったのか?というところを考えながら観ていただけるとこの映画の魅力が伝わると思います!
② 構想30年。企画倒れ9回。を経て作られた「呪われた映画」
自然災害 資金ショート 主役が腰痛で中止 軍用戦闘機 ジョニー・デップの降板
もう笑ってしまうくらいの災難に見舞われたこの映画の企画は「映画史上もっとも呪われた企画」と呼ばれています。
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は企画が立ち上がったのは1989年でした。
そこから約30年経った今に公開するまでにはなんと9回も企画が倒れているという悲劇に見舞われています。
その悲劇の連続はこの映画の監督テリー・ギリアムが「私の生きているうちに完成しないかもしれない」と言っているのも納得するほどで、その様子が「ロスト・イン・ラ・マンチャ」という一本のドキュメンタリー映画ができるほどです。
この映画ができるまでの30年間の出来事が既に物語になっていると言ってもおかしくないほどのドラマをここで振り返ってみましょう!
「呪われた企画」のヒストリー
1989年:呪われた企画の立ち上がり
全ては一本の電話から始まった。テリー・ギリアム監督が「バロン」制作後すぐにプロデューサーのジェイクエバーツへ電話を入れ「ドン・キホーテを映画化する」と伝えたところ二つ返事で「オーケー」と返ってきたそうな。
1998年:プリプロ開始
タイトルが「The Man Who Killed Don Quixote」に決定。制作資金で当時では最大規模になる3120万ドルを集める。キャスティングにジョニー・デップとヴァネッサ・パラディが選ばれる。(ジョニーとヴァネッサはこの頃から交際関係になるが、この後に大変な結末を迎えるとは・・・。)
2000年:クランクインからの撮影中止
クランクインするが、軍用機ちが近かったので戦闘機の音が大きすぎてろくに録音が出来ないというトラブルに見舞われる。そして、撮影2日目、鉄砲水の被害に遭い、撮影機材が流される。さらにロケーションも水の影響で見た目が変わってしまい、さらには、乗馬シーンで主演の俳優が腰痛を発症して帰国してしまう。
その後、保険会社から1500万ドルの保険金を受け取ることになる代わりに脚本の権利が保険会社に移る。
2002年:ドキュメンタリー「ロスト・イン・ラマンチャ」公開
メイキング映像を撮影するつもりで回していたカメラが企画が頓挫するまでの悲劇の一部始終を納めていたことからその様子を「ロスト・イン・ラ・マンチャ」というドキュメンタリー映画にして公開された。
2003年:噂が流れる
再びテリー・ギリアム監督が企画を復活させるという噂が流れる。
2005年:再始動の予兆
プロデューサーのジェレミー・トーマスがこの企画の復活に意欲的だという報道が流れる。
2006年:権利問題
保険金の代わりに保険会社へ移った脚本の権利問題が解決する。
2008年:プリプロ再開
映画の映像を全て取り直して作ることが決まる。「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」に出演するロバート・デュバルとジョニー・デップをキャスティングに考えているとギリアム監督が公言するも、ジョニー本人は「忙しいので受けるつもりはない」と発言する。
2009年:プリプロ本格始動
テリー・ギリアム監督が脚本の再執筆に取り掛かり、ジョニー・デップの降板を発表する。
2010年:資金ショート発生
ジョニー・デップの代わりにユアン・マクレガーを起用すると発表するが、テリー・ギリアムが資金繰りがショートしたと同時に発覚する。
2011年:さらなる降板
ユアン・マクレガーも降板してしまう。
2012年:復活の予感
ジョニー・デップがプロデューサーとしてこの企画に協力することが報じられる。
2013年:監督の発言
「この仕事をするのに人生の多くを無駄にしすぎた」と監督が発言する。その時、監督は82歳。
2014年:再び再始動
テリー・ギリアム監督が資金確保と脚本が変わったことを明かして、コンセプトアートをFacebookに投稿する。ドン・キホーテ役にはジョン・ハートを起用すると報道される。
2015年:主演急病により降板
ジョン・ハートがクランクインの直前で癌だと診断され、撮影中止。
2016年:再び資金ショート発生
アダム・ドライバーとオルガ・キュリレンコを起用すると明かす。しかし、資金確保に失敗したとプロデューサーが発表。監督が「映画が死ぬ前に自分が死ぬんじゃないか」と発言。
2017年:17年越しのクランクイン
ついに再撮影が始まったと明らかになる。今までの出来事が嘘だったかのように順調に進んだ撮影は12週間と3日で見事にクランクアップすることに成功する。
2018年:ついに公開
カンヌ国際映画祭のクロージング作品として上映され、7分以上のスタンディングオベーションに包まれた本作はついに公開された。
しかし、権利問題が再び浮上しテリー・ギリアム監督の映画化権が剥奪される。
2019年:権利問題がクリアに
スクリーン・メディア・フィルムズが北米の配給権を獲得し、北米に公開される。
2020年:我が国に上陸
約30年間の時を経て、1月24日に日本公開。
もうざっと見るだけでもどれだけ波乱万丈な30年間だったのかと思うほど災難に次ぐ災難の連続にこの映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」が誕生したことがわかります。
執念の一本とも呼べるこの映画を生み出してくれたテリー・ギリアム監督やその他制陣・キャストのみなさんには最大の拍手を送りたいですね!
この映画が生まれるまでの30年間の出来事を知るだけでもこの映画を観る以外の選択肢はありませんでした。期待を胸に膨らませて観たこの映画はどんな映画だったのかはこれからご紹介したいと思います!
③ 夢と現実の間で何を信じるのか
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は何を伝えたい映画なのか?というところをお話ししたいと思います。
世界のリアクションを見てみると、欧州では大喝采、北米では大酷評だったという賛否の分かれるこの映画は、解釈が分かれそうなラストシーンも相まって面白いかどうかは人それぞれな映画だと思います。
私としてはこの映画を
夢を信じることとは何なのか?
ということを監督が投げかかけた映画だと解釈しました。
それは波乱万丈な30年間をこの「ドン・キホーテ」に費やしてきた監督自身の物語でもあり、監督の価値観そのものが表れているからだと感じたからです。
この映画はストーリーの中で“夢を信じることとは何なのか?”というテーマを投げかける演出がたくさん用意されています。
主人公は夢を売り、現実を見るトビーと夢を信じこみドン・キホーテになっちゃったハビエルです。
この夢を信じ込んで空想の世界に行って返ってこなくなったハビエルというキャラクターはテリー・ギリアム監督そのものであると思いました。
この「ドン・キホーテ」の映画化という“ 夢 ”を実現するために30年間も、何度も企画倒れしながら実現しようとしてきた監督は現実を見ずに夢の世界に飛び込んだハビエルそのものなんじゃないかと。
その存在と全く逆の“ 対 ”になる存在がトビーです。
彼はCM監督として活躍をしていますが、仕事に情熱を失ってしまって現実を見ている人物です。
テリー・ギリアム監督がトビーのような人物だったらこの企画を途中で諦めてしまっていたでしょう。
そんなトビーが昔に作った「ドン・キホーテを殺した男」というタイトルの自主制作映画がきっかけで空想(=夢)の世界に生きることになってしまったハビエルたちと再会し、成り行きで一緒に旅をすることになってしまいます。
自らを本気でドン・キホーテだと思い込んでいるハビエルの周りには空想と現実の区別が付かなくなるような出来事が次々に起こります。
そんなドン・キホーテと化したハビエルと行動を共にするトビーも空想の世界(=ドン・キホーテの世界)へと引きずり込まれていってしまいます。
2人の旅を通して監督は色々なメッセージを問いかけてきます。
哀れな人生とはなんなのか?
正気と異常の違いはなんなのか?
この問いかけの答えがわからなくなるように、この映画を観ている人も空想を見ているのか、現実を見ているのかわからなくなるような映像に頭の中を揺さぶられます。
この空想と現実の境界線を反復横飛びするような監督の世界観を存分に味わってください。
そして、この映画の原題は『The Man Who Killed Don Quixote = ドン・キホーテを殺した男』です。
ドン・キホーテを殺した男という言葉の意味とは?
トビーとハビエルの旅の行方はどうなっていくのか?
このポイントについてもこの映画を観ていくうちに明らかになっていきます。
そして、最後に用意されている賛否の分かれるラストシーン。
私はこの映画のラストシーンをハッピーエンドだと解釈しました。
夢の中に入って帰ってこなくなったハビエルと、夢をみることが出来ないトビーの旅の先に何が待っていて、どういうラストを迎えるのかという部分の解釈は人それぞれの感じ方で変わると思います。
それはこの映画を観るあなたが、あなただからこそ感じ取れるラストの解釈になっているはずです。
30年間の構想と9回の企画倒れを乗り越えてテリー・ギリアム監督が生み出したこの映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は監督の価値観が詰まった映画です。監督の総決算の作品だとも言えましょう。
この映画を観てあなたは何を感じるのか?
その答えを大切にしていただきたいと思います。
おわりに
正直、全くマークしていなかった作品だったのですが、構想に30年、企画頓挫9回を経て作られた「呪われた企画」で作られた映画だと聞くと気になってしまって劇場に足を運びましたが、観て正解でした。
というテーマは普遍的なもので、私たちが生きていく中でも何度も出てきては頭を悩ませるテーマでもあるんじゃないでしょうか。
その人生の永久の課題と言っても過言ではないテーマに
テリー・ギリアム監督がたどり着いた一つの答えを用意しているのがこの映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」なんだと思いました。
現実と空想との境界線が曖昧になるような映像演出も素晴らしく、監督が30年間考えてきただけあって、この映画で表現されている監督の価値観の抽出度はかなり高いんじゃないかと思います。
そして、主演の2人であるアダム・ドライバーとジョナサン・プライスの演技も素晴らしかったです。
アダム・ドライバーは“ 怒り ”を表現する演技が非常に上手い俳優だなと思います。「スターウォーズ」のカイロ・レンも怒ってましたし、「マリッジ・ストーリー」でもかなり怒ってました。
彼の感情を爆発させるような“怒り”を表現する演技がこの映画でも堪能できます!迫力が凄かったです。
しかし、それを上回る輝きを放ったのがジョナサン・プライスだと思います!
彼は「ゲーム・オブ・スローンズ」「2人のローマ教皇」などで有名ですが、間違いなくこの映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」が代表作になるでしょう。
空想の世界を信じて自らをドン・キホーテだと思い込んでしまった靴職人という役柄を見事に演じきっていて、ドン・キホーテそのものになっていました!
靴職人の男とドン・キホーテという二面性を持つキャラクターの魅力を引き立てた彼の演技は引き込まれます。
この2人の掛け合いを観るだけでもこの映画を観る価値はあると思いますよ!
この映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」は正直、映画を普段観ない人に勧めるのは難しい映画です。
しかし、映画好きにとっては必見の価値がある映画だと私は思います!
30年間の波乱の時間を経て、磨きをかけられたこの映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」にご興味をお持ちであれば、一度味わってみることをお勧めします。
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